第50話

「単純な話だよ、お互いに意見が合致しただけ」



「さぁ、煌。命令だよ、怜央から離れて」



リーダーは胸ポケットから銃を取り出すと煌に向けた。



「……っ、嫌と言ったら?」



「怜央の命は保証しないよ」



「馬鹿ですか?リーダー。怜央が欲しいのはあなたでしょう?殺したら意味がない」



「怜央は生きてても生きてなくてもいいんだよ。怜央の脳内データとメモリーチップが欲しいだけだからね」



俺の脳内データとメモリーチップ?なんだそれ…。

俺の体内に何かあるのか…?



「どいて、煌。俺から離れて」



そして、俺は煌の静止の声を無視してリーダーについて行った。


それからはリーダーのもとで命令された仕事を行うとともに、脳内データの実験とやらに俺は使われていた。

この事実を唯一知っている朔から、煌についての情報を教えてもらった。



俺があの場を立ち去った後、あの出来事だけきっぱり記憶を失ったそうだ。だから今でもリーダーのもとで仕事を行っているらしい。

それを知った零斗は見たことがないほど怒っていたと、朔が言っていた。


ただ、煌は俺のことは覚えているらしく、急に消えた俺のことを探しているらしい。


でも、守れなかった俺があいつに会う資格はない。煌と会うわけにはいかなかった。だからこの数年間俺は身を隠して愁と名乗っていた。

愁として、少しでもサポートできるように煌の潜入調査のサポートもした。あの学校に朔もいたのは驚きだが。


朔と煌は面識がないから、煌が変装してたらきっと気づかないだろうななんてのんきなことを思っていた。

まさか、あの学校にいる暴走族のトップが零斗なんて知らずに。零斗がまだ煌のことを狙ってるなんて知らずに。

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