第38話
――side朔—―
総長は少しおかしなところがある。喧嘩は強いし、顔面も整っているし、運動神経もいいという完ぺきな人にしか見えなかった。
…これも最初だけだったが。
総長はずっとある人を探しているようだった。薫という女らしい。
総長はその女にしか興味がなく、その女の話をするときだけ総長の目は狂気的だった。
薫と言う女は、そこまで総長を狂わすほどの女らしい。
総長が薫を見つけたという連絡が入ったときは恐怖すら感じた。
あそこまで狂っている総長が、本人を見つけたら何をしでかすか分からない。
だから、あいつを送り込むしかない。
…本物の柊怜央を。
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