愛してやまない人

第26話

爽については蓮に任せるとして、流石に学校に行かないと怪しまれるから行かなくちゃね。


ガラガラ…



「おー、香澄久しぶりだね。サボり?」



「サボりなわけ無いでしょ。ちょっと体調が悪かったの」



自分の席について教室を見渡す。



「—―相変わらず、総長たちはいないのか」



「ん?なんか言った?」



「いや、何も言ってないよ」



いけないいけない。私としたことがうっかり口に出してた。


朔は人間観察が得意な部類だから特に注意しなきゃいけないのに…。疲れてんのかな、私。



「あ、そーだそーだ。いい知らせがあるよ」



「いい知らせ?」



朔は少しニヤニヤしながらスマホをいじると、私に画面を見せてきた。



「総長と幹部一名が今日学校に向かいます…」



私がそう呟いた途端、私と朔の会話をずっと盗み聞きしていたクラスの女子たちが一気に騒ぎ出した。



「久しぶり過ぎない⁉何か月ぶりだろ⁉」



「えっー、五か月くらいじゃない?ほんと久しぶりすぎる」



「久しぶりに黒狼の皆さんを拝める…」



いやー、信者多すぎるでしょ。



「人気がすごいんだね、黒狼って」



「そりゃー、ここらでは有名なほうだからね」



でも、ようやくあの総長に会える。それに、もしかしたら律を助けれるかもしれない。



「—―黒狼サンたちとご対面だ」

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