第25話

――律side――



ん…。ここは――



少しくらい、地下室のような場所で目が覚めた。



「お、起きたんだ」



「…蓮」



僕が殴られたとき、最後に見たのはこいつの顔だった。



「僕を殴ったのは、蓮なの?」



蓮は椅子に座って足を組むと、少し考えたようなふりをした。



「んー。ご名答。俺が律を殴ったよ」



…っ。



「なんで…」



「俺が黒狼側だからって理由もあるけど、総長の命令なんでね」



蓮が黒狼側…?じゃあ、裏切ってた内通者は蓮ってこと?



「俺は闇來に戻れないからね、いいことを教えてあげるよ」



今まで見ていた蓮とはまるで別人のような冷めた表情で俺を見た。



「そっちの総長の早瀬薫は女だよ」



は…?女?薫が?



「で、俺の総長が早坂薫のこと好きなんだよ。狂ったほどにね」



いつ頃好きになったとか詳しいことは知らないけどー。と言いながら席を立つ。



「まぁ、早坂薫を手に入れるためなら何でもするんだよ。うちの総長」



冷たい表情からパッと僕がよく見ていたあの優しい表情に戻る。



「…なんでそんなことを僕に言うんだよ」



「んー、気まぐれだよ」



そう言って一度も僕のほうを見ずに部屋から出て行った。

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