裏切り者

第24話

――爽side――



俺が連絡通りの時間に倉庫裏に行くと、もう蓮が待っていた。



「悪い、待たせた」



「いや、待ってないよ。大丈夫」



でも、わざわざ倉庫裏に呼び出すなんて…。倉庫裏なんて、日の当たらない少しじめじめしたような場所だぞ。



「話ってなんだ?」



「お前さ、黒狼側の人間だろ」



俺の耳に入ったのは衝撃的な言葉だった。



「は?お前、俺が内通者だって言いたいわけ?」



ありえない、あんだけ闇來をサポートしてるのに。



「お前が最近与える情報は、全部外れてるだろ。しかも、黒狼側に有利なことばかり」



「それは…っ」



確かに最近は外れることが多い、俺だってなんでか分からないのに…。



「俺だってわからない。なんで外れるのかなんて」



「わからないって言ってることが怪しいんだろ。律がさらわれたのだって、お前が関係してるだろ」



「でも、律がさらわれたとき俺は部屋にずっといたし」



「お前が直接さらわなくても、仲間に教えればいいじゃん」



でも、俺はやってないんだって…!



「というか、ここに呼んだ理由は?別に俺を疑うなんて、薫の前だってできるだろ」



わざわざ裏に呼ぶ理由がないだろ。



「あー、それはね――」



蓮がポケットに手を突っ込み、少しかがんだように見えた瞬間—―



バチバチッ



「うっ⁉蓮、なんで…」



蓮が俺にスタンガンを軽く当ててきた。


俺が倒れたのを確認するかのように近づいた後、俺の目を見た。



「ここに呼び出したのは、邪魔者を排除したいだけだよ」



「邪魔…者?」



「そー。俺が裏切り者だって気づかれそうな人から罠にはめてやろうと思って」



はっ…?蓮が内通者?うそ、だろ…。



「今さ、お前が内通者だって薫に思われてるよ」



「それはっ、俺が薫に蓮が内通者だって伝えれば問題ないだろ…」



「俺が姿を消したらいいだけだよ。俺が姿を消せば、お前の信用もなくなる」



少し狂気的な目をしながら俺を見て笑っていた。



「スタンガンを当てたのは、ちょっとお試しだよ」



お試し…?



「しばらくは動けないだろうけど、まぁ死なないんだからいいでしょ」



立ち上がると、じゃーねと言いながら先に歩いて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る