第88話

そういえば……賢人が仕事してるとこ初めて見たな。


すっごく一生懸命。


かっこいいな。



賢人を見てそう思ってた。



「何見てんの。胡桃」



気づけば椅子には賢人の姿は無くてノートパソコンは閉じられてた。



「へ?」



賢人はすぐ目の前にいてキスができる距離にいて。



「うわっ!?」



慌ててソファから崩れ落ちた。



「危ねぇな。気づくの遅いから」


「……いや、ぼっとしてて」


「ったく。大丈夫か?」


「……うん」


「ほら、手」



手を差し伸べられる。


私は賢人の手を掴み立ち上がった。



「コーヒーでいいよな?」



コップにお湯を注ぐ賢人。



「うん………」



温かいコーヒーをひと口。



「それで、答えは決まったんだよな?こないだ、俺が言ったこと」



私は頷いた。

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