第32話
「上がれよ」
「うん」
まさかのオートロックなのね。すごいわ。
「おじゃまします」
部屋の中はあまりに広すぎてどこに座っていいかわからなくなる。
「テキトーに座ってて」
賢人は言い残しキッチンに消えていく。
部屋中賢人の匂いでいっぱいだ。
チラチラ部屋を模索していると、写真に目がいく。
これ、大学時代の私たちだ。
もうひとつは写真立てを伏せていたので触れていた。
それは、賢人が大学時代に付き合っていた元カノとのツーショット写真。
だけど私は知っている。
賢人が大学時代から好きだったのは………
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