第84話

ま、この時間帯なら、あの人達も居ないでしょ?


なんせ、夜の住人だもんね。


あくまで私の勝手な思い込みだけど。




この予想は大きく覆される事を、私はまだ知らない。






繁華街の大通りに出ると、学校帰りの学生達で溢れてた。


あらあら、結構人が多いなぁ。




「ねぇねぇ、プリクラ撮ろう」


「良いね良いね」


「その後どうする?」


「彼氏と彼氏の友達と合流する?」


「お、良いねぇ」


制服姿でキャピキャピしてる子達を見てると、数ヵ月前の自分を思い出す。



私もこんなだったのかな?


いや、そうでもないか...アルバイトに明け暮れてたかも。



青春らしい青春もやってないような気がする。


ママの病院と学校とバイト、行く所なんてそんなもんだったかも。


だから彼氏と長続きしなかったのかもね。



二人ほど相手から言われて付き合いはしたが、あんまり遊べないことに不満を言われて別れを切り出した。


実際問題、相手が好きだったのか?と言われたら疑問が残る所だ。


まぁ、付き合うぐらいだから嫌いでは無かった。


普通のカップルがすることも普通にやってたし、それなりには好きだったと思う。


だけど、ママやバイトより優先する程では無かっただけのこと。



あの二人には悪いことしたかもなぁ。


なんて思いながら歩道を歩きながら、気に入った店を探す。



低価格でラフな感じの服が欲しいのよね。


そんなに出掛けたりもしないから、よそ行きなんてのも要らないし。



高級そうなお店が建ち並ぶ所を早足で抜ける。


こんな店、用ないし。



しかし、上手いこと出来てるよね?


メイン通りには高級店、裏通りには水商売の店。



夜のお店のお姉さん達がお客のおじさん達を連れてここに来たら、高いもの買ってもらえるじゃん。


この辺のブランド店はそんな客狙ってそう。


お姉さん達も潤うし、お店も潤う。



わぉ、凄いな。


感心しつつ足を進めて目的の店へと入る。


ここは某雑誌によく取り上げられるティーン向けのお店だから、低価格で私も入りやすい。



学生で賑わう店内で、手頃な品物を数着選ぶ。



一応、着てみる事にしてフィッティングルームに入った。


選んだのはショートパンツとキュロット。


動きやすさ重視。


スカートはあまり好きじゃない。


女の子らしくないと言われても、こればかりは仕方ないよね。


トップスはノースリーブとカーディガンボレロを選んだ。


色は水色が中心だ。


私はピンクって感じじゃないしね。

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