第80話

「はぁ....なんか、暁ちゃんてマイペースだよな」


と言われる。



「あ、うん」


それがなにか?と、たいちゃんの顔を見上げる。



「いや、別に良いんだけど。それより、彼等の事を少し話しておくよ」


とたいちゃんが言った時だった。



「なんの話してるんだ?」


と進ちゃんもやって来た。



店内に居た最後のお客さんを送り出し終わったらしい。




「おぉ、暁ちゃんがあの人達を知らないって言うから教えようと思って」


とたいちゃんが進ちゃんを見る。



「あ~ぁ、大木さん達の事か?」


「そうそう」


「まぁ、仕方なくね?暁ちゃんて最近来たばっかだしさ」


「ま、そう言われたらそうだけどさ」


ホットケーキを食べる私の上部で繰り広げられる会話。




「お前ら、食事中の暁の邪魔すんなよ」


厨房からいつの間にか出てきていた颯斗さんが二人を睨み付けた。



「あ、お、まぁそうだけど」


とバツが悪そうに目を伏せるたいちゃん。



「暁ちゃんて知らないんだって、この街の支配者のこと」


と進ちゃんが颯斗さんを見る。



「ああ。漆黒の帝王か?」


さらりとそう言った颯斗さんに、



「あ、その名前なら知ってます。住んでた町でも噂は流れてました」


と反応した。



「ああ、知ってたのか?」


「名前だけですけど」


その人の支配力を当てに逃げてきたしねぇ。



美智瑠さんが言ってたけど、思惑通り私の追っ手も追い返してくれたみたいだし。



「あの人、さっき暁が話してた人はその帝王の側近中の側近だ」


とこれまたさらっと言った颯斗さん。




「えぇっ!」


さすがにそれは驚いたし。


あの人、そんな凄い人だったの?



「ああ、やっぱり知らなかったんだね」


とたいちゃんが苦笑いする。



「知らない知らない」

 

知ってたらさすがに態度も考えたし。



まさかと思うけどさ...漆黒の帝王は...。


あのエロ変態じゃないでしょうね?



それは色んな意味で怖いから...。



この街を統べる人があの性癖ってヤバいでしょ?



あ、逆にこの街を統べるような大物だから、脳内可笑しいのか?



かなり失礼な事を考えてた。

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