第81話
「まぁ、大木さんのあの様子なら暁ちゃんを敵視してる訳じゃないと思うから、そんなに落ち込まなくて大丈夫だよ」
帝王について良からぬ事を考えていた私を見て怖がってると思ったのか、たいちゃんが慰めてくれた。
「あ、うん、ありがと。大丈夫」
怖がってはないから。
面倒臭いと思ってただけだし。
「それにこの店の人間は守られてるしね」
と進ちゃん。
「えっ?」
そんな感じの事を前に恵美ちゃんも言ってたような?
「あ、暁はそれも知らねぇんだな?」
と何時も口数の少ない颯斗君がこの店の不可侵を教えてくれた。
恵美ちゃんのお父さんの代から続く不可侵。
だから、この店での揉め事がほぼないんだと納得する。
それにこの店の従業員は外でも絡まれたりしないし。
なんと便利な、と思いつつホットケーキを口に入れた。
「所で暁ちゃんは帝王にも会った?」
とたいちゃんに聞かれ、
「あの人ともう一人変態には会った」
と返した。
「へ、変態?」
と進ちゃんが目を丸くする。
「ん。露出好きのね?シルバーアッシュの髪の男」
それが何か?と進ちゃんを見る。
「「「.....」」」
なぜか、三人が同じ顔で固まった。
あれ?どうかした?
変なの?と思いつつもパンケーキを食べる。
だって、美味しいんだもん。
「暁は暁だな?」
とニヒルに笑う颯斗。
「帝王を変態と呼べるのは暁ちゃんぐらいだろうな?」
ウンウンと腕組みして首を縦に振る進ちゃん。
「それ、外では言っちゃダメだからね?」
とたいちゃんに諭された。
「あ、うん。この街にはここの皆以外知り合い居ないから」
これは本当。
休みもあんまり出歩かないし、他の人と接点を持つ機会はないもん。
あまり人付き合いも好きじゃないから、調度良い。
よく分からない訪問者に、4人で首を傾げつつもお店を閉めて、一日の終わりを告げたのだった。
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