第56話

和やかなムードで進む夜食会。


今日の出来事なんかを話ながら、楽しくオムライスを食べた。



「って言うか、暁ちゃんて幾つ?」


と進ちゃんが言うと、


「ああ...そう言えば聞いてない」


と恵美ちゃんが苦笑いする。



「年も聞かずに雇うって...恵美ちゃんらしい」


と笑う紘君。



そう言えば聞かれなかったなぁ。


「19歳」


ボソッと言えば、


「「「えぇ~!」」」


と驚きの顔を三人に向けられた。



「えっ?問題ある?」


と首を傾げる。


19歳はダメなのだろうか?



「落ち着いてるから二十歳越えてると思ってたわ」


と恵美ちゃん。



「ついこの間まで高校生だったの?」


と紘君が言うから、


「あ、はい」


と頷いた。



「こんな色っぽい高校生って反則だな」


と意味の分かんない事をぼやいた進ちゃんに、恵美ちゃんと紘君はウンウンと頷く。



私が更けてると言いたいのか?この三人は...。


年上に見られがちなのは昔からなので良いけどさ。



「未成年か...あんまり遅くまで働かせちゃダメだわ」


額に手を当てた恵美ちゃんが苦笑いする。



「あ、黙ってれば見つかりませんよ」


今までも深夜徘徊しててもあんまり補導されなかったし。


まぁ、田舎過ぎて警察官が少なかったせいもあるだろうけど。



「あ、それは言えてるかも」


フフフと笑う恵美ちゃん。



「確かに暁ちゃんを見て未成年と思う奴はそう居ないね」


と進ちゃんも笑う。



「俺同じ年か少し上だと思ってたわ。仕事も手慣れてるし立ち居振舞いも大人びてたから」


と紘君が言うから、


「あ~それは育ってきた環境かも」


と返した。



深い部分まで話すつもりは無いけれど。


育った環境が今の私を作り上げたのは間違いないと思うから。



「えっ?」


とこちらを見た紘君には気付かない振りをする。



「ま、人それぞれ色々あるってことね」


と恵美ちゃんが話を纏めて会話が終わる。



オムライスを食べ終えて片付けを済ませると、進ちゃんと紘君は帰っていく。


恵美ちゃんと私は店の施錠を再確認して二階へと上がった。




「じゃ、今日はご苦労様でした」


と言われ、


「いえ、お疲れさまでした」


と頭を下げる。



「ゆっくりと寝てね」


「はい。また明日」


二階の踊り場で簡単な挨拶をして別れた。

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