第54話

私の名札を作ってくれたたいちゃんと颯斗さんは9時頃帰っていった。


彼ら二人は早番だったらしい。


後に残ったのは私と紘君と進ちゃんと恵美ちゃん。


来店する客も疎らで、もっぱら出前の方が多かった。



歩いて15分以内の距離なら配達するらしい。


何てアバウトな...。


まぁ、それで成り立ってるらしいので良しとする。



暇なうちに皆の年齢を聞いてみた。


颯斗君は24歳で一番の長く店に勤めてるらしい。


調理師免許を持ってる彼は恵美ちゃんが居ない時は厨房に入るとの事。



彼以外のメンバーは21歳らしい。


因みに大学生。


なので夜に入ることが多いらしい。



お店は13時~24時まで。


たまに残業ありらしい。



話してみると皆気さくで接しやすい。


人付き合いが苦手な私でもなんとかなりそうだ。





「どう?初日は疲れた?」


料理を終えた恵美ちゃんがカウンターに背を預けてた私に声をかけてくれた。


紘君と進ちゃんが配達中なので、今は私がフロアーを切り盛りしてる。


まぁ、お客さんは一名だけだけど。



「あ...はい。正直あの忙しさには驚きました」


田舎の漁師町じゃあそこまで混雑は無かったもんね。



「ああ。あの3時間は大変だったよね?まぁ、そのうち慣れると思うわ」


慣れるほど毎日経験するんだなぁと思った。



「はい。頑張ります」


忙しくても遣り甲斐があると頑張れる。



「宜しくね。暁ちゃんはうちの看板娘だかね」


と肩を叩かれた。



「それは無理ですよ。私は愛想悪いし」


目を伏せて苦笑いを浮かべた。


今日だって、ほとんどが愛想笑いだし。


ニコニコするのが苦手なんだもん。



「良いの良いの。暁ちゃんはクールキャラで」


満足そうに笑う恵美ちゃん。



「.....」


ほんとに良いのかな?


クールキャラってなにさ。



「お腹空いてない?なにか作ろうか?」


フライパンをヒラリと見せてくれる。



「あ...じゃあオムライス食べたいです」


さっきお客さんに出したオムライスが無茶苦茶美味しそうだったんだよね。



「おっけぇ~」


恵美ちゃんは頷くとオムライスの調理の準備を始めた。



そうこうしてるうちに、進ちゃんが帰ってきて紘君も帰ってきた。



最後のお客さんはその10分前に帰っていった。

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