第53話

「たいちゃんの隣が、斉藤進一(サイトウシンイチ)」


「進ちゃんです、よろしく」


茶色のソフトモヒカンの彼は、格闘技をやってそうなほどガッシリした体格似合わない切れ長の瞳を優しく細めた。



「で、その隣が森宮紘(モリミヤヒロ)」


「紘で~す。よろしくね、可愛い子ちゃん」


再びウインクしてきた彼は他の4人と比べて背は低い。


八重歯と人懐こい丸まるな瞳をしていて、俗に言う弟系男子って感じ。


茶褐色の髪はゆるふわパーマをかけていてお洒落さんだ。



「最後のノッポは武藤颯斗(ムトウハヤト)」


「うっす。颯斗で良い」


無愛想に会釈した少し長めの黒髪の彼はとても落ち着いた感じの人だ。


二重の瞳に薄い唇、醸し出す妖艶さが他の三人とは違う。

一番のイケメンだと言うとは間違いないと思う。




「こんな仲間でうちは営業してます。どう?やっていけそう?」


皆を紹介してくれた恵美ちゃんは最後に私を見た。



「はい。頑張ります。北川暁です。慣れるまでご迷惑をお掛けすると思いますがよろしくお願いします」


恵美ちゃんに頷いてから、もう一度皆を見て自分の名前を名乗った。



「ああ」


「うん」


「もちろん」


「がんばろうね」


上から颯斗さん、進ちゃん、紘君、たいちゃんか挨拶を返してくれた。


四人とも個性が強そうだけど、なんとかやっていけそうな気がする。



「よ~し、仕事に戻りましょ。たいちゃん、彼女のネームプレート宜しくね」


恵美ちゃんはたいちゃんに微笑むと厨房の奥へと向かっていく。



「了解。あきらちゃん。漢字教えてくれる?」


たいちゃんだけがその場残り、他の三人は持ち場へと戻っていった。



「あ、はい。東西南北の北に三本線の川、あかつきと書いて暁です」


メモを取るたいちゃんにそう伝えた。



「おぉ~格好いい名前だねぇ」


ペンを走らせながら感心するたいちゃんに、


「恵美ちゃんにも言われました」


と薄く笑った。



「アハハ、恵美ちゃんと同じ思考だって事かも。暁ちゃんは名前も見た目も極上だね」


持っていたペンをクルリと指で回したたいちゃん。



「あ、そんなことないですよ。って言うか、このお店はイケメンしか採用されないんですかね?」


たいちゃんを見てからてんないのメンバーへ視線を向けた。



「あ~ま、うちはそれも売りだよね。たまたまだろうけど、イケメン揃いだ」


自分で言っちゃったと苦笑いしたたいちゃん。



いやいや、言って良いと思います。


たいちゃんも相当イケメンだよ。

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