第48話

ライダースーツで街中を彷徨くのも変なので、手早く手軽な格好に着替えた。



デニムとトレーナーと厚手のナイロンパーカー。


スピードさえ出さなきゃこれで十分だ。



恵美ちゃんは有言実行で布団とカフェの制服を持って戻ってきた。


それをありがたく受け取った私は、地図片手に買い物リストに書いた物を買うのに必要な場所を教えて貰った。


バイクに乗って良くウロウロしていたから、道を覚えるのは得意な方だ。


教えて貰った場所を順番に頭に叩き入れた。



恵美ちゃんは、カフェの仕込みがあるらしく私と一緒に部屋を出ると一階のカフェに入っていった。



バイクに跨がってヘルメットを被ると目的地を目指す。



携帯ショップは何気に一番遠い。


なので、そこから順番に帰路に付きながら買い物を済ませるつもりだ。



途中でキャッシュコーナーに寄って必要経費を下ろした。


結構な金額なので胸がドキドキしたけどね。






スマホは新しい新機種を買った、因みに色は白。


そこから白を中心に買い物を進めた。


テーブルの下にひくラグだけはブルーにした。


特に理由はないけど。



大方の物を買い揃えたら、バイクなのに荷物で一杯になってしまった。


ハンドルに引っ掛けて、タンデムにくくりつけて、なんとか帰ってくることが出来たけど。



大型の家具や電化製品は明日の配送になってしまったけど、別に不便だとは思わなかった。



この街をウロウロして感じたことがある。


街の人達はあまり他人に関心がないみたいだと言う事。


私のオッドアイを見ても一瞬驚きはするものの、その後はとくに気にする様子もないし。


自分と違うモノを敵視する感じもない。



住んでた漁師町とは大違いだ。


都会とはこんなものなんだろうか?



まぁ、その方がありがたいんだけどね。


私はこれからここで生きていかなきゃならないんだから。



戻ってきた繁華街は夜の装いとは違い少し静かで。


賑やかだったそこは、太陽の下では成りを潜めてるらしい。



表通りのショップが並ぶ場所には、若者が溢れていた。


学生達だろうか?会話をしながら、ウインドウショッピングを楽しんでいた。



懐かしい光景だと思う。


私も高校の頃は友達と買い物に出掛けたりもしたから。



本当の意味で友達だったのかは、今はもう分からないけど。


あの頃の誰にも、もう連絡を取るつもりはない。


どこから、伯母さん達に情報が漏れるか分かんないからね。

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