第49話
両手一杯の荷物を持って自室に戻る。
がらんどうの部屋にそれを置いて、フローリングに座り込んだ。
お店に出る前に部屋の掃除だけはしておこう。
その前に買ってきたファストフードで腹ごしらえだ。
朝から何も食べないまま、15時を過ぎてしまったもん。
ハンバーガーとポテトを頬張りながら、片手でスマホを操作する。
SDカードを入れたから、電話帳はキチンと同期できたしね。
さっき教えてもらってた恵美ちゃんのアドレスと番号も登録した。
恵美ちゃんの所でお世話になることをLINEでママにお知らせだ。
それと、通帳のお金も事も。
ママからは、住む場所と仕事が見つかった事に安堵する言葉と、恵美ちゃんとの出会いに感謝すると言う言葉が帰ってきた。
もちろん、自分の入院費は心配要らないと書かれていた。
ママとのLINEにホッとする。
何も知らない土地に来たことは少なからず私に不安を与えていたから。
電波でもママと繋がっていられる事を嬉しく思う。
ホームシックと言われたらそうかも知れないけど、こんな私でもやっぱり故郷を離れた事は寂しいのだ。
買ってきた荷物と、持ってきた荷物を少し整理して直ぐに必要の何物はクローゼットにしまった。
スマホで時間を確認するともう16時30分。
そろそろ用意しようと、貰っていた制服を広げてみる。
白いYシャツに、黒いパンツ、ロングのソムリエエプロンだ。
やっぱり都会はお洒落だなぁ。
さっき買ってきた黒いローパンプスが似合いそうだ。
手渡された制服を見て靴を選んできたんだよね。
下着が透けないように白いシャツを着てからYシャツに袖を通した。
ロングのパンツは少し腰回りがダブつくのでベルトで止める。
ソムリエエプロンを着けて完成だ。
洗面所の鏡の前でクルリと回って確認する。
髪を水て濡らしてくるりっとなった裾を軽く遊ばせる。
分け目は七三。
手櫛でストレートの部分を整えて完成。
少し崩れた化粧を手直しして洗面所を出た。
パンツのポケットに恵美ちゃんに貰ったキーホルダー付きの家の鍵とスマホを突っ込んで部屋を後にした。
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