第41話

「こんなに綺麗な子をからかうなんて、本当クズね」


...大月さん、顔が怖いです。



一人でブツブツと喋りだしたので、私はコンタクトを外す事にした。


顔も洗いたかったから。


ワンデーのカラコンだから、取り外して付け替えるだけだから簡単だ。


裸眼で正面の鏡を覗き込むと、やっぱり少し赤い。


浸けっぱなしにして寝たからなぁ。



「あぁ~オッドアイ!」


鏡に写った私を指差して口をパクパクさせた大月さん。


ほんと、忙しい人だなぁ。



「あ...変ですよね?」


右目が青くて、左目が茶色だなんて。


だけど、これはパパ似らしいんだよね。



「ううん、全然。格好いいし、素敵ぃ~」


惚れ惚れした様な顔で鏡じゃなく私の顔を覗き込んだ大月さん。


いやはや、この人は少し常人とは感覚が違うらしい。



「ありがとうございます」


パパと同じ瞳を誉めてもらえたのはやっぱり嬉しい。


小さい頃から変だって言われ続けてきたし。



「暁ちゃんはハーフ?」


と聞かれ、


「クオーターです。亡くなった父がハーフだったから」


と答えた。



どうしてだろう?今日会ったばかりのこの人に、こんなにも話してしまうのは。



「そっかぁ、クオーターかぁ。日本人にはない綺麗な顔付きだとは思ってたのよねぇ」


顎に手を当ててウンウンと一人で納得してる大月さん。


本当に変わった人。


そんな印象を受ける。



新しいコンタクトのケースを取り出して、着けようかどうしようか迷う。


目が充血してる時はあんまり着けたくないんだよね。


後で痛くなるし。




「目が悪いの?」


悩んでた私の顔を見てそう聞いた大月さん。



「あ、ううん、ただのカラコンです」


と答える。


オッドアイを隠すために着けていただけだし。



「だったら、もう着けるの止めたら?こんなに綺麗な瞳を隠すのは勿体無いよ」


本気でそう言ってくれてた。



「でも...」


この瞳は気味悪がられる。


だから、小学校からカラコンをしていたんだ。


なので、私のオッドアイを知る者は少ない。




「本当に勿体無いよ。こんなに素敵なのに隠しちゃうなんて」


あぁ、この人は欲しい言葉をくれる。



「どうして、初めて会ったばかりの私にそんなに優しくしてくれるんですか?」


本当に疑問だった。


ここで、ついさっき会ったばかりなのに。

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