第23話

ー晴成sideー



幹部室には、俺を含めた5人が集まっていた。


中央のテーブルを囲むように配置された4つのソファー。


チーム旗を掲げた正面に俺、その左のソファーには豪と瑠偉、右には光希、そして対面のソファーに秋道。


全員が顔や体に掠り傷を負いながらも、熱気冷めやらないのは、数十分前に終わった大規模な抗争のせい。




「いや~見事な制圧だったね」


そう言って満足そうに笑うのは光希。


正木光希(まさきみつき)16歳、情報収集担当。

弟タイプで、愛嬌のあるくりくりした目が女に人気らしい。


甘える時に使うアヒル口と、赤髪がトレードマーク。




「晴のやる気がマックスだったしな」


ニシシと笑う瑠偉。


刈谷瑠偉(かりやるい)17歳、特攻隊長を務めてる。


女ったらしで軽い口調のこいつは、目尻のつり上がった目をしていて人を見下すように笑う口元。


トレードマークは金髪とジャヤジャラと両耳に着けたた沢山のピアス。



「夜叉の奴らには、随分と煮え湯を飲まされてたかなら」


豪は、眉間にシワを寄せている。


石谷豪(いしたにごう)17歳、斬り込み隊長を受け持つ。


ガッチリとした体格、鼻筋の通った堀の深い顔つきに厚い唇。


青い髪と大きな体格がトレードマーク。



「これでしばらく安心ですよ」


書き物を止めて顔を上げた秋道が言う。


佐々本秋道(ささもとあきみち)16歳、うちの参謀で頭の回転が早いやつ。


黒髪、切れ長な瞳、生真面目そうな見た目、密かに女に人気があるこいつは、ちょっと口煩い。



この4名がウルフの幹部。



「でもよ、急にぶっ潰したいとか晴珍しくね?」


瑠偉の言葉に、ソファーの肘掛けに頬杖をついたまま顔を向ける。



「面倒臭い奴等を排除しねぇと、会いに行けねぇからな」


あの日の事を思い出しながら言う。


俺にまったく興味を示さねぇ、響って言う女を。



「えっ? 誰に?」


興味津々に身を乗り出した光希に、


「さぁな」


と曖昧に返す。



「女ですか?」


秋道の抑揚の無い声と冷たい瞳に、俺はゆるりと口角を上げた。


「言わねぇ」


潰されてたまるかよ。


響は簡単に落ちるような女じゃねぇのに、その上邪魔までされちゃ堪らねぇからな。



「晴成、楽しそうだな」


唇の端に痛々しい傷を作った豪が笑う。



「まぁな」


ああ、楽しいな。


あいつとの、追いかけっこが始まると思えばよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る