第24話

「遊ぶのは良いですが、くだらない女に引っ掛からないでくださいね」


秋道、目が笑ってねぇぞ。



「ああ。俺を誰だと思ってる」


強い視線を返した。


女遊びはしても、見る目はあるつもりだからな。



まぁ、響は、今まで俺の周囲にいた女みたいに一筋縄じゃいかねぇだろうし。


あいつが好きなのか? と言われりゃそんな事は分からねぇ。


一度しか会ってねぇ女を好きだと言えるほど、俺も安い男じゃねぇ。



でも・・・ただ、もう一度あいつの瞳に映りてぇと思うんだ。


どうしてだか、分からねぇが。




「まぁ、今日のところはパーティーだ」


瑠偉は立ち上がる。


一階の広間にそろそろ準備は整ってるだろう。


チームの連中が俺たちの到着を心待ちにしているだろう。



「うんうん。飲みに行こ」


はしゃぐように光希も立ち上がる。



「みんなも待ってるし、行くか」


豪の言葉に、


「3人で先にいっててください」


秋道が反応した。



「おう、了解。行こう、2人とも」


頷いた豪は光希達に声をかける。



「先行くな」


瑠偉が、ヒラヒラと手を振る。


「2人も早く来てよ」


アヒル口で甘えるように言うのは光希。


3人は幹部室のドアを押し開けて出ていった。





静かになった幹部室。


俺と向き合った秋道は、何かを見透かすように俺を見つめる。



「で、何処の誰ですか?」


「言わねぇよ」


「俺に黙ってても、晴成が動けば直ぐにバレるんですよ。隠せると思ってるんですか」


正論を言われて、そりゃそうだなと思う。


良くも悪くも目立つ俺が、隠密行動なんて出来るわけがねぇな。



「・・・響」


仕方無く名前を口にする。


「どちらの響さんですか?」


「さぁな? 名前と住む場所以外知らねぇ」


「はぁ・・・それは本気で言ってるんですか?」


額に手を当てて呆れたように溜め息を吐いた秋道。



「ああ。夜叉の見張りが付いてる間は動けなかったからな」


自分の立場は分かってるつもりだ。


それに、あの女を巻き込む訳にはいかなかったしな。



「もしかして・・・この間、助けてくれたと言う彼女ですか?」


ああ、こいつは相変わらず感がいい。



「・・・ああ」


「そんな予感はしてたんですよ。迎えに行った時の晴成の機嫌が良かったですからね」


なんでもお見通しって訳かよ。


そんな顔に出てたのか? 俺。

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