誕生日と初めてのドレス

第62話

休日の久々の晴れ間。

雨続きで溜めてあった洗濯物を沢山干した。

ベランダの柵に布団を引っ掛け、久々の虫干し。


「う〜ん、良い天気」

両手を高く上げ伸びをする。

週休2日のお休みはありがたい。

土曜に用事を済ませて、日曜にゆっくりする。

このスタイルが体を休める一番の方法だと思う。


さて、今日はどこに行こうかな。

ぶらりと街を歩いてみようか、それともスイーツ店でも回ってみようか。

時間はたっぷりあるから有意義に使おうと思う。


樹は今週大学から研修に行ってていないんだよね。

1人で過ごす週末は久しぶりかもなぁ。

ちなみに樹は法学部に入っていて弁護士を目指してる。

彼女らしい職業じゃないかな。

ピシッとスーツを着こんだ樹が法廷に立つ姿を想像できるもんね。


白い雲の切れ間からギラリと照った日の光に目をしかめた。


「さぁ、出掛けよ」

部屋に戻ると鞄を持って玄関に向かう。

下駄箱の上に置いてあった部屋の鍵を手に取り外に出れば、むわっとする様な熱気に煽られた。


「暑いなぁ」

ベランダに居た時は横から吹いてた風が暑さを和らげてくれてたけど、外はやっぱ暑いや。

じわりと滲んでくる汗に眉を寄せ、エレベーターへと歩き出した。





ウインドウショッピングでもしようと繁華街に出てきたのは良いけど、人の多さに戸惑った。

カップルやら学生ぽい人達やらで賑わう繁華街は、喧騒に包まれてる。


「人混み苦手だな」

溜め息混じりにそう吐き出した。

すれ違う人達がそれを拾う事はない。


人の多さが暑さを倍増させてる気がする。

ノースリーブの黄色いワンピースに薄手の白いあみあみのカーディガンを羽織ってきたけど、暑さが全く緩和されてないよ。


来て早々でなんだけど、カフェで涼もう。

前々から気になってたカフェがこの近くにあったはずなんだよね。

フラフラと歩道の端を歩きながら、カフェと向かった。

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