第79話

それでも…写真は…。

穂高も分かっているはず。


私も襲われて写真を撮られたことがある。

その時の穂高が、全て消して、やり返してくれた。


写真がとられることは、被害者側は凄く傷つくものだと分かっているはずなのに…。



「…そうだな」




それでも穂高は約束を守ってくれた。

廻していない。

穂高1人で行った。

性行為はしていない…。



どうして私はこんなにも落ち込んでいるんだろう。徹という通り、穂高は女の子を傷つけても、無理矢理そういうことをしないって思っていたからなのか…。



穂高のことは信用してる。

倭のために、清光に入ってくれた。


私は倭を救いたい。

不良になるのをやめさせたい。

私を守ると言った倭……。


そもそも、私が清光に入らなければ、倭は火傷をおこさなかった。

だけど、このまま倭と放っておくと、倭は〝不良〟になってしまう。

それだけは止めたい…。

私を守るためにと、清光に入った男…。



このままだと、倭の身体中、傷だらけになってしまうんじゃないか…。


このままだと、穂高は本当に良い奴なのに、凄く酷いやつになるんじゃないか…。



「…どうして、それで穂高が怒ってるの?」



怒るのは、山本の方では…。

私が失敗したこともある。



「来ねぇから、連絡」


「連絡?」


「山本たち、なんも言ってこねぇし、倉庫にも来ねぇから…」


「どういうこと?写真、送ったんでしょ?」


「そう、だから晃貴が怒ってる。何もしねぇごっこ遊びの集まりだって」


「……」



ごっこ遊び…。

穂高は、高島良しか使えないと言っていた…。



「つか、晃貴、焦ってるっぽい」


「……穂高が?」



穂高が焦るなんて。

いつもいつも、すごく余裕がある男なのに。




「ほら、将輝さんと亜貴さんが色々あるって言っただろ」


「……」


「晃貴、亜貴さんを潰したいって思ってるけど、そこに将輝さんもってなったら話は違ってくる」


「…」


「元々、掟破りだからな。派閥に手を出すのは」


「…」


「だから今まで3つの派閥があったけど」


「……」


「将輝さんと亜貴さんが組んで派閥が2つになったら、その掟破りもなくなる」


「……なくなる?」


「将輝さんと亜貴さんが晃貴を潰せば、2人が1番になって、その掟破りも無意味」


「…そんなの、」


「そう、だから清光は絶対3つの派閥があるんだ。どこかの派閥が、その派閥を潰せばその派閥は掟破りになるから…」


「……その掟破りをするとどうなるの?」


「簡単にいえば、イエローカードみたいな」


「イエローカード?」


「動けないと思う」


「……」


「手出し出来ないから、やられても文句はいえない」


「……」


「ってか俺も、どうなるか分からない。清光で、3つの派閥が1つになったことはねぇから…」

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