第75話

「なんだ? 今おもしろいとこなんだけど」



亜貴は笑う、

焼ける匂いしかない教室の中で、亜貴は笑う。



「す、すみません、それが、綾さんが、」



〝綾〟

その名前を聞き、床にガスバーナーを捨てた亜貴は、たった今視聴覚室に来た男の人の方へと向かう。



「綾がなに?」


「今、連絡が入って──…」



亜貴が、視聴覚室から出ていく。

ずっと私を抱きしめる倭に、叫んだ。



「もういない、亜貴さんいないからっ…」



倭がいつ気絶したのか分からない。

もしかしたらもっと前かもしれない。


ガク、っと、私に全体重を預けるように、力が抜けた倭からは白い煙がずっと出ていた。




「おいっ、大丈夫か?!」



ずるりと倒れた倭の背中は──……



「ひでぇ、…」



亜貴を呼びに来た男が、嘔吐しそうになるほどで…。



泣きながら倭を抱きしめた。



倭は病院に運ばれた。



倭は左腕と、背中に酷い火傷をおった。

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