第65話

その声に、背筋が凍りそうになった。

実際は足元が震え、肩がガタガタと動いてた。


穂高もパンツを脱がすことしか考えてないらしい。

保健室の時の、あの義務のようなレイプを思い出す。あの時も、同じ感じで──…。


穂高の指先がスカートの中に入ってきた時、ガク、っと足に力が入らなくなった。

ガタガタと体が震える。亜貴の言う通りにするった決めたのに……。こんなんじゃ橋本薫に抱かれることも出来ない。



「…やめて……」



ポロポロと泣き始める私を見下ろした穂高は、同じようにしゃがみこんだ。



「なあ…」


「……」


「はっきり言うけど」


「……」


「俺ん中で、お前って特別なんだよ」



……え…?



「好きとかじゃない、そんな感情は全くない。倭の好きなやつで…。特別の意味を聞かれると答えにくいけど。友達でもねぇし」


「……」


「俺らの関係性ってイマイチ分かんねぇけど、原田のことは信用してる」


「……」


「だから原田を他の女と一緒にしたくない」


「……ほ、だか…」


「お前は使いたくない」


「………」


「だからお前も、俺を他の男と一緒にすんな」



涙を流しながら穂高を見つめていると、穂高は呆れたようにため息を出した。



「お前は違うのか?」



穂高のことを、特別だと?

私だってそう、

穂高のことは凄く信用してる。

だからこそ、穂高に『やらせろ』と言われたことが凄くショックだった。



「……おもってる……」


「……また、襲われたのか?」



頷いてないのに、「そうか」と呟いた穂高は「だから倭のやつ、暴れてたのか」と納得したような声を出した。



倭のことも、知ってるらしい。



「ここで?外?」


「……保健室…」


「何人?」


「…3人」


「……そうか」


「……」


「お前さ?」


「……」

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