第59話

「…どういう意味ですか…」


「そこまでお前に説明するつもりはない、俺の言われた通りに動けばいい」



本当に、駒なんだな…。

きっとさっきの頭痛の心配も、ちゃんと駒として動かなければならないから。



「…どうして私なんですか?」


「お前、見た目は賢そうだしな。あのふたり、どっちもお前みたいな女を彼女にしてるからな」



それは、系統が似てる、ってことだろうか?っていうかそもそも彼女持ちの男に近づくのは許されるのだろうか?西高の総長と幹部って…。



「……分かりました、…今あの、本当に頭が痛くて。明日改めて聞いてもいいですか?」


「いや、連絡する。頭、つれぇなら家に帰るか保健室で寝てこい」


「……」


「なんだその顔。そんなに嫌か、男に抱かれるの」



イヤに決まってる…。



「廻されねぇよりマシだろ?」



泣きそうになっていると、話が通じないことを言われ。



「まあ、倭の耳には入らねえようにはしてやる」



その言葉に、頷くことしかできない…。



西高へのスパイ…。



失敗は許されない。




もし失敗すれば、私はどうなるのだろうか。

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