第49話
…ルール…。
「その派閥のトップには逆うのはご法度」
少しずつ苦しくなっていく呼吸に眉を寄せた。ちょうど喉が当たる部分に親指を当て、確実に酸素不足になる絞め方をする。
「そのちゃんは、俺が嘘をついたから怒ってる、でいい?」
聞かれても答えることが出来ない。
私が怒ってるのは、倭の心を操ったこと。穂高を悪者にした事。
「じゃあ嘘が本当になるように、既成事実をつくればいいってわけ?俺も〝穂高〟だし」
嘘が本当?
既成事実?
〝穂高〟?
何を言っているのかと顔をしかめれば、首元にある亜貴の指先の力がぬけ、呼吸がしやすくなり大きく息を吸った。
その動く首元に、顔を埋めてきた亜貴に、呼吸が止まりそうになる。
何してるの…。
当たり前のように、スカートの中へ手を入れてきた亜貴に、パニックが止まらず。
「やっ、」
叫び声が、上手く出なかった。
さっきまで首を絞められていたからか。
「や、やめてっ……!」
次に出た声も、小さく。
「〝穂高〟に犯されたって言えばいい。これは嘘じゃない」
「っ…」
最低最悪の、人間…。
私を抱くつもりの亜貴…。
既成事実…。
「……お願いだから、倭には言わないで……」
そういった私の目からは、涙が出ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます