第47話

違うよ、

穂高は何もしてないよ。

私を犯したのは──…



言えない、

倭を探しにいって、犯されたなんて、言えない。倭を傷つける訳にはいかない。



そう思って、ハッとする。


まさか、と。




「奏乃…、お前が晃貴のこと好きなのは知ってる」


「やまと…ちがう…」


「けどあいつは、お前で遊んだ…」


「やまと…」



嘘だよ、

それは嘘。

穂高の兄の嘘なの。


でも、今ここで、それを倭に言ったら?


もし、倭が、私の…

私が処女じゃないことを知ったら…。

私が廻されたと、バレてしまう。



「…お前がそんな泣きそうになってんの、晃貴のせいか?」



違う



「奏乃」



違うの、倭…。



「俺は、お前を傷つけるやつは誰であろうと許さない」



違う、違うの、



穂高の兄の亜貴は



倭と、穂高を使って抗争を起こそうとしてるの…。


亜貴の策略に乗っちゃだめ…。



「やまと…やめて…」


「…」


「穂高に、手を出さないで…」



私の言葉に、眉をひそめた倭は「…そんなに好きか?あいつのこと」と、眠っている私の髪をふわりと撫でた。




……私が好きなのは、倭だよ。

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