第40話
「いやさ?奏乃ちゃんがやられた時、助けたのってうちの弟なんでしょ?弟はシラ切るけど、奏乃ちゃんの口から教えて貰えばいいやと思って」
やられた時…
助けたのは、穂高…。
穂高は黙ってる…。
どうして私の口から…。
「どうなの?」
どうなの?って言われても……。
穂高は、そのことに関しては清光から言われると言っていたはず。
それでも黙っている…。
分からない、私も知らないって言った方がいいの?
「奏乃ちゃんがやられましたって言ってくれれば、掟破りとして、俺ら将輝んとこ潰せんの。そんで弟も将輝んとこに手ぇ出しちゃってるから掟破りなわけなんだけど…」
掟破り?
潰せる?
将輝と、穂高がいる黛というところを…?
それじゃあ、今私がYESと答えれば、掟破りというものをしてない亜貴派が、優勢になるってことでは…。
ああ、だから、穂高は知らないって言ってるんだ…。
「し、知りません…」
「知らないの?君を襲った奴ら連れてこようか?」
「知りません…」
「ふうん、弟になんか言われた? それとも付き合ってるから庇ってる?」
「ほ、ほだかとは、つきあってません」
「付き合ってる、って聞いたけど、過去形なの?」
過去形も何も、付き合ってない…。
「今は倭と付き合ってるの? ほら、安藤倭」
怖い…。
まるで、全てを分かっているような目をしている男は、「どうなの?」と目を細める。
「付き合ってません…」
「ふうん?そう。弟とは付き合ってたの?」
「い、え…」
「だと思った、奏乃ちゃんは付き合ったことあるの?」
「…いえ…」
「へぇ、じゃあ未経験?」
「…」
「未経験なんだ?彼氏いた事ないもんね?」
「…やめてください…」
「まあ、さっきの話。奏乃ちゃんが廻されたって言っても中学の時の話だから、掟破りって言えないんだけどね?入学する前の話だから」
「…え?」
「でも、だめだよ。俺に嘘ついちゃ」
亜貴が、にっこりと、笑ったその時だった。
「綾」
と、亜貴が近くで机に伏せて眠っているその人に声をかけたのは。
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