第39話
そこは、3年の階ながらも、ほぼ亜貴って人が独占していると聞いた。
勢力にも人数のバラツキがあるしく、1番多いのは亜貴で、1番少ないのが黛っていう人のところらしい。つまりは穂高がいるところ…。
穂高がいるそこは学校の外の繁華街近くをたまり場にしているようで、あまり学校には来ないんだとか…。
「ふうん、なるほど、かわいいね」
普通の教室だった。
一体どこから持ってきたのか、いつからあるのか。そのとある教室の中の後ろの方にある3人がけのソファに座れと言われ、そこで待っていたら、その人が現れた。
「穂高亜貴です、はじめまして」
穂高の兄…。
似ていないと思った。
穂高は爽やかで、スポーツをしてそうな少年だった。
目の前にいる人は笑っているけど、爽やかとかそんなのではなくて、少し目がたれ目で穏やかというか、穂高の兄って言われてもあまりピンと来なかった。
外見が穏やかだからか、不良には見えないと思ったけど。
「えっと、原田奏乃ちゃんであってる?」
顔は笑っているのに、目は全く笑っていなかった。
ゆっくりと頷けば、そのソファに座り込む亜貴は私の横に来た。そのまま背もたれに腕をのばし、まるで私の体を囲うようし、「ごめんね呼び出して」と逃がさないように牽制をかけてきた。
教室の中には何人かの人間がいて。
近くで寝ている人もいれば、こっちを見てる人や、スマホをさわったりしてる人もいる。
周りは穂高亜貴派の人間…。
「あの…、なにか、?」
「うーん?ちょっと小耳に挟んでさ?」
小耳?
何を…。
「将輝んとこの奴らに廻されたって本当?」
にっこりと、笑っていない表情で、ものをいうその人に、私は目を見開いた。
何言ってるの…。
この中にはたくさんの人がいるのに。
普通のトーンで、もう1回「本当?」と、言ってくるその人…。
その質問は私のことを全く思っていなく、〝可哀想〟なんて持ち合わせていない…。
どうしてこの人がそれを知ってるの?
いや、今はそんなの、関係ない…。
怖くて震える体をどうにかしないと…。
ここから逃げることを考えなきゃと、思ったその時、ソファに置かれていた腕が私の肩に回って引き寄せられる。
慣れたその手つき…。
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