第38話

まあ、つまりは、ここは女にとってはすごく危ないところらしい。でもそれはここに入学前から分かっていたこと…。今更とやかく言うつもりは無い…。



そう思いながら、私は学校生活を送っていた。授業中なのに授業をしてないこの学校では、勉学は難しい。



逆に言えば、目立つ人間の方が目をつけられるから、こうして大人しくしておいた方がスルーされるっていうのも事実だった。



穂高は何かと忙しいらしく、入学してから5月頃まであまり連絡もとっていなかった。



だけどそれよりも、入学してからは「奏乃」と私を無視しないようになった倭は、クラスは違うのに私に会いにくる。



まるで昔のように、今までの事を無かったかのように接してくる彼。



ここは不良の巣窟だけど、確かに雰囲気は悪いけど、予想とは違いまだ〝怖くは無かった〟。

もしかしたら倭がそばに居てくれてるからかもしれないと思ったけど。





「お前が原田?」



話しかけられたのは下足場でだった。


まるで待ってましたと言わんばかりに、私を待ち伏せしていたらしい男子生徒がいた。



「亜貴さんが呼んでる、今すぐ来いって」



入学してから約1ヶ月半。


私はそこでやっと、〝トップには逆らえない〟という事を、身に染みたのだ。

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