第34話
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「──…奏乃!!!」
久しぶりに名前を呼ばれた気がした。二学期、三学期、全く学校に来てなかった彼は今日に限って来てるらしくて。
彼の顔を見て、ああ、やっとバレたんだと思った。それでも私は変えるつもりは無い…。
違うクラスの倭は、私の前に来ると「ちょっと来い!!」と、強く腕を引き、人気のない廊下まで私を連れてきた。
久しぶりに見る倭の背はすごく高くなっていた。
いつの間にか金髪から茶髪に変わっていた。
声も低くなっていた。
なんだか、倭じゃないような感覚だった。
「お前、清光に入るってどういう事だよ!!」
怒鳴り声をあげる倭は、怒ってるらしい。
「……誰かに聞いたの?」
「おばさんから聞いたんだよ!!」
ああ、お母さんから…。
「ふざけんなよ?!」
「別にふざけてないよ、志望校が清光高校なだけ。もう合格通知も来たよ」
「なんでそこなんだよ!?お前長高に行くって言ってただろ!?」
なんでそれを、倭が知ってるんだろう。
確かに私は普通レベルの長田高校に行くはずだった…。
「倭には関係無いよ、なんで倭に言わないといけないの?」
「お前っ」
「倭は何も教えてくれないのに?」
「…」
「倭がどうして清光に行くのか教えてくれたら、私も言う」
「奏乃」
「倭が言わないと私も言わないから」
「…やべぇって分かってるだろ?」
分かってるよ?身に染みて。
「やばいって分かってるのに、倭は行くんだね」
「今すぐやめろ」
「ムリだよ、清光高校しか受験してない」
「奏乃!!」
「こういう時だけ話しかけてくるんだね、いつもいつも無視するくせに…」
私の気持ちも知らないで…。
「もう私たち、幼なじみでもなんでも無いよ?倭がそう言ったんだよ」
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