第11話

「あいつとお前、友達でもなんでも無かっただろ」


「それは、」


「それは?」


「私が、倭と幼なじみだから…」



なんでか怒ってる倭は、煙草を吸うと、紫煙を出し。



「…今度から俺に言えよ、晃貴じゃなくて」


「倭に?」


「これからは俺が何とかするから」



何とかって。

それって、また同じことがおきれば、倭は穂高みたいに違う女の人と付き合うかもしれないってこと?



そんなの、




絶対に、いや…





「や、やだ、」


「は?」


「しなくていい、ほんとに、」


「なんでだよ?晃貴には言うのに?」




険しい顔の倭は、煙草は長いまま、火を消した。煙が薄くなる。



「倭がそんな事しないで」


「虐められたら俺に言えよっ」


「なんで、別に倭は関係ない…」


「関係ないって…」


「…ごめん…、でも、しないで…」



倭が、私のために好きでもない人と、付き合うなんて。

大切な幼なじみ…。

なんだか泣きそうになってくる。



「じゃあお前はずっと一緒にいた俺じゃなくて晃貴を頼るのか?」


「そ、そういう意味じゃなくて…」


「……なんで…。俺がお前を心配する理由、分かるだろ?」


「…倭」


「なんで晃貴なんだよ…」


「…だからそれは…」


「晃貴が好きなら付き合えばいいだろ!」



好きって…。



「す、すきじゃないよ、私は…」


「あいつもお前に気があるから助けたんだろ?」


「違うよ、エリ先輩が元々、穂高を…」


「もういい、わかった」


「倭?」



凄く凄く苛立っている倭は、私をじっと見つめてくる。その目は少しだけ、私を睨みつけていた。


倭が、こんな怖い目で私を見てくるのは初めてだった。



「…帰れよ、晃貴が好きならこれからもずっと晃貴に守ってもらえばいいだろ」

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