第93話

「ウソ、やめて⋯お願い⋯」


「嘘じゃねぇ⋯」


「蛍⋯、あたしを、犯したの⋯?」



ねぇ、言ってよ。

犯してないって。

嘘だって、言ってよ⋯。




「この部屋でしたのが、初めてじゃ⋯ないの?」



そう言った私を声は、震えていた。



「⋯っ⋯それは⋯」


「ほた⋯る⋯」


「⋯ごめん⋯」


「やめてよッ!!もう、やめて!! 蛍はそんな事しない!! 蛍はずっと私を大事に思ってくれてたのに!!」


「⋯ごめん」


「もういい!!聞きたくない!!」


「証拠⋯ならある⋯」



証拠⋯?



「そん中に⋯ある⋯」



その中。


頭をあげた蛍は、蛍のスマホを、見つめた。



そこで、私は思い出す。





―――ケイ、写真撮っとけよ



ああ、そうだ。


あの声だ。


あの声、さっきの、金髪の男の声⋯!!!



そう気づいた時、蛍の言っている意味を理解する。

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