第94話

―――写真、撮っとけよ



撮ったんだ。

蛍は。

私を。


それが、証拠⋯?




天国から地獄へ突き落とされた気分だった。



さっきまでは夏休み泊まりとか、話していたのに。



ねぇ、なんなのこれ。



「湖都⋯」


「さ、わら、ないで!!」



手を伸ばしてくる蛍を、払いのけた。

どうして蛍が傷ついた顔をするの?

泣きそうな顔をするの?


泣きたいのは、私の方!!!




「湖都、信じてほしい⋯」


「何を信じるの!?」


「俺、やってない、挿れようとしたけど、やってねぇ⋯、写真撮って、助手席で、ずっと、座ってた⋯」



やってない?


挿れようとした?


写真撮って?


助手席で?


座ってた?




「湖都を抱いたのはこの部屋が初めてだ!!」


「嘘つかないでよ!!」


「嘘じゃねぇ!!こんなの違うと思って、シなかった!! 他の奴らに聞いてくれたって――」




その言葉を聞いた瞬間、私は蛍の頬をひっぱたいていた。ジンジンと、手のひらが熱くなる。



顔を横を向いた頬が赤い蛍に向かって、口を開く。

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