第84話
私の指先が、かすかに震える。
知らない男が近くで喋っているからか。蛍は私の手をぎゅっと掴むと、「あの人に強く言われたしな、もう行かねぇ」と、蛍は言い放ち。
「お前の地元、うっせぇなぁ。―――つーか、偉い大人しそうじゃん、お前の趣味って地味子ちゃんだったのな」
その時、金髪の男が、蛍の背中に隠れている私を覗き込むように見てきて。
目が合った瞬間、ビクッと肩を揺らした私は、慌てて視線を下に向けて手を繋いだまま、もう一度蛍の背中に隠れた。
「―――え⋯⋯?」
そんな金髪の声が聞こえた時、「人見知りなんだよ、悪ぃな」と、蛍が声を出し。
「人見知り⋯?⋯へぇ、そうなのか⋯」
「‘手’出すなよ」
「⋯⋯出さねぇよ、その子はな」
金髪の男はそう言うと、「また連絡するわ」と、その場から離れていき。
何人かもう席についている騒がしい集団の方に、歩き出した。
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