第75話

「⋯ど、して?」



やっぱり汚いから?



「怖いだろ? ぶつかっただけであんな震えてたのに、絶対思い出したくねぇだろ」



そうだけど。

その通りだけど。



でも、



「ほ、たるが⋯かえて⋯」


「湖都」


「嫌な記憶を、蛍が、いい思い出にかえて!体を重ねるのは⋯、幸せな、行為だって⋯!」


「⋯っ」


「お願い⋯っ⋯」


「湖都⋯」


「お願い、蛍っ⋯」


「⋯ほんとに、大丈夫なのか?」


「い、や? 抱きたくない?」


「抱きてぇ、抱きてぇけど、湖都を大事にしたいんだよ」


「⋯だったら消してっ、思い出せないぐらいっ、蛍でいっぱいにして!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る