第73話

「ある程度は、思ってた」


「うん」


「男に暴力されたか、犯されたか、イジメとか、そういうのだって」


「うん⋯」


「暴力?」


「⋯⋯ううん⋯」



暴力、に入るのか、アレは。

でも、叩かれたりは⋯しなかった。



「ヤられたのか?」


「⋯⋯」


「そいつ、今どこ? 捕まった?」


「ううん⋯」


「顔、覚えてねぇ?」


「⋯⋯」


「⋯そうか⋯」


「⋯⋯蛍?」


「⋯ん、何」


「⋯私のこと、気持ち悪くない?」


「馬鹿言ってんじゃねぇよ」



蛍は強く、私を抱きしめ。

震えている私の背中を、ゆっくりと摩り。

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