第71話

もっと、もっとと、唇を重ねる蛍は、柔らかい何かを私の口内に入れてきて。初めてのその感覚に、戸惑う。


柔らくて、湿った、温かいモノ。


それが蛍の舌だと気づいた時、蛍の服をぎゅっと握りしめていた。口内を動くその柔らかいモノは、私の舌と絡ませていき。



強引に。けれども全く嫌だと思わないソレは、私の体を熱くさせた。



淫らな音が耳に入り、名残りおしそうに離れていくソレ。蛍は軽く最後にふれるほどのキスをすると、思いっきり、私を抱きしめてきて。




「やべぇ⋯」


「⋯?」



体が熱い私は、「やばい」と言っている蛍の意味が分からず。



「止まんねぇ⋯」


「⋯なに、が?」


「もっとしてぇ⋯」



キスを?



「いいよ? 」


「無理⋯」



したいのに、無理って?



「大事にするって⋯決めたしな」



大事にする⋯。私を?

付き合った時、言われたのを思い出し。

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