第67話

男の子らしい、部屋だと思った。



「湖都?」


「なに?」


「お願いがあるんだけど」



お願い?



そう思って蛍の横に腰を下ろすと、蛍は両手を広げてくる。


お願いがあるのと、両手を広げる意味が分からず。



「抱きしめてもいい?」



その言葉にようやく理解した私は、顔が赤くなるのが分かった。


抱きしめても⋯



いい。



いいに決まってる。



蛍になら、抱きしめられたい。




そう思った私は、座っている蛍に寄り添っていた。



初めて、蛍と手を繋いだ時もそうだった。蛍は私からふれるのを待つだけ。


だから蛍は、手以外、絶対にふれない。


まだ、手を繋いだだけ。



私が受け入れた、手のひらだけ。

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