第65話

中間テスト期間に入り、午前中に終わった私は、校門で待っているはずの蛍の元へ走った。



蛍に「おまたせ」と言えば、蛍は笑う。


仕事が休みらしい蛍は私の手をとると、「飯食いに行く?」と、聞いてきた。


午前中でテストが終わるから、お昼は食べていなく。



「うん」


「何食べたい?」


「なんでも、蛍は何食べたい?」


「んー⋯、思いつかねぇな」



そんな蛍にクスクスと笑っていると、蛍は「湖都?」と、綺麗な二重の瞳が優しく見下ろす。



「湖都、俺と2人で密室って怖い?」


「え?」



密室?


人が、私達の他に、誰もいないということ?




「湖都がいいなら、コンビニかどっかで飯買って、俺ん家来ねぇかなって。⋯夕方までには、絶対送るし。こっから家、近いから」



蛍の家。


誰もいない。


助けてくれる人が、いないということ。



けど、もう蛍が怖くない人物だと、分かっているから。



「い、行きたい⋯」



素直な気持ちを言う。二人きりになるというあたしの受け入れに、蛍は嬉しそうに笑った。

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