第63話

「―――ウソ、ついてた、ごめんなさい」と、私が言ったのはランチを食べ終わり、蛍と手を繋ぎながら、駅前の小さな繁華街を歩いている時だった。



「何が?」



私に顔を向ける蛍。



「門限じゃないの⋯」


「門限?」


「夜、というか⋯、暗くなるのが、怖くて」


「うん」


「ごめんなさい⋯」


「いいよ、昼間に遊べばいいだけだろ?暗くなる前に送る」



優しく呟いた蛍は、私の顔を見て微笑む。



私はその顔を見て、自然に笑顔になっていた。




好きだと思った。蛍を。



これからも、ずっとずっと、一緒にいたいと思った。

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