第57話

何故、蛍にそう言ってしまっのか。



「苦手?」


少し、驚いた声を出した蛍。



「うん⋯」


「怖いっつー意味?」


「⋯うん」


「それって、男全員?」


「全員っていうか⋯、トラウマっていうか⋯、男の人に、ぶつかっただけでも、怖くなるの⋯」


「⋯ぶつかる?じゃあ、あん時ビビってたのは、俺とぶつかったたから?」



その言葉に、頷く。



「こうして喋るのは、大丈夫なのか?」



こうして喋るのは⋯。



「大丈夫⋯というより、そのトラウマが出来てから⋯、お父さんと、蛍しか、男の人と喋ってないの⋯」


「⋯」


「だから、大丈夫⋯とは言いきれなくて」


「⋯」


「あ、の、気分を悪くさせたら、ごめんなさい⋯」


「⋯いや、そんな事ねぇけど」

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