第54話

「いいけど、もしかしてバイク、苦手なのか?」



苦手も何も、乗ったことが無い⋯。



「ごめんなさい⋯」


「いや、たまにそういう奴いるしな。このバイク、あんたんとこの家に置いててもいい?」


「あ⋯うん⋯、あの、本当にごめんね」


「別にいいよ、歩いたらその分、あんたと話せる時間長くなるからな」



笑った蛍は、「ここ置いとくわ」と、敷地内の、邪魔にならないところにバイクを置き。



「お母さんに、言ってくるから、待ってて」


「ああ」



私は家の中に戻り、お母さんにバイクを置いていることを伝えた。お母さんは3度目の驚いた顔をしながら、「分かった、気をつけてね」と、私を送り出してくれた。

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