第35話

「⋯はい」


「はいって、否定しろよ」



おかしそうに笑う蛍。紺色のツナギは、この前よりも少しだけ汚れていた。黒いような、何かが染み付いたような色。



蛍の笑った顔に、私も少しだけ笑い。



「休憩中ですか?」


「そー」



また人が2人入るほどの距離まで近づいてきた彼。



「時間、バラバラなんですね」


「ん? バラバラ?」



私の言葉に蛍が顔を傾けて、聞いてくる。



「この前はこの時間、働いていたから」



私が小さな声で呟けば、「ああ」と彼は納得したような声を出し。



「早番と遅番で、休憩時間違うし。 ってか客がいきなり来たら、どんどん休憩時間遅れるしな。今も2時間遅れの休憩中」



呆れたように笑う蛍は、「超ハード」と、投げやりな声を出した。

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