第32話

そう言いながら、右手を上げて、手に持っているものをフラフラとさせた。


その手には、コンビニの袋が揺れていて。


どうやらコンビニで何かを買って、仕事場へ戻るつもりだったらしく。



蛍は袋を揺らすのをやめ、そこからあるものを取り出すと、ズボンの後ろ側のポケットの中に手をいれ。


マスクを下へとズラした蛍。


カチッと、音がした時には、蛍の手に白くて細い棒に、火がつき煙が出ていた。



隠れていた高い鼻と、薄い唇に挟まれた煙草。




「⋯成人、じゃないですよね?」


「シー、内緒な」



内緒、と言われても、誰に言えばいいのか。



「⋯何歳?」


「17」



確かに、離れていない⋯。


だって、私も17歳だから。

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