第31話

きっと、3日前の私なら戸惑っていた。

来ないで!近寄らないで!って思っていただろう。



でも彼が、どういう人物がある程度分かっていたからなのか。


「⋯はい、蛍さんは⋯、まだ治っていないようですね」と、普通に返事をすることが出来て。



本当に、先程まで見ていた車屋さんで、働いているらしい。



「もう喉、痛くねぇけどな」


「そうですか」


「帰るのか?」


「⋯はい、迎えが来るので」


「おお、リッチだな」



マスク越しで笑いかけてくる蛍との距離は、人が2人分ほどで。その距離でピタリと止まった蛍。



「今日は⋯お仕事だったんですね」


「そー、休憩中」

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