第22話

男が嫌いなはずなのに、その人からは憎悪が感じられなくて。



「雨宮⋯湖都⋯」



さっきまで戸惑っていたのに、名前をすんなりと教えた私。



「ふぅん、で、あんたは何で病院?どっか悪いわけ?」



名前を教えたはずなのに、「あんた」と言ってくる男。


どこが悪い?


カウンセリングを受けに来た。


なんでカウンセリングを受けてんの?って、聞かれるのが怖かった私は、「私も、風邪気味で⋯」と、嘘の言葉を出し。



「春は体調崩しやすいって言うしな」



呆れたように笑ったと思ったら。

また、ゴホゴホと、咳をだした。

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