第19話

透き通ったような明るい茶髪⋯。

どこからどう見ても、怖そうな風貌だけど。


昨日の水といい、さっきのスマホといい、親切な男の人だと心の中で思っていた。


でも、そんな人でも男は男。


この世で1番、大っ嫌いな人種―――⋯。




ゴホゴホと、苦しそうに咳をする彼に目を向けた時、私はハッとした。


もしかして、この人の風邪は、昨日私が手首に水をかけてしまったからではないか。



どれぐらい服に浸透してしまったかは分からないけど、濡らしてしまったのは確かで。



「⋯⋯だ、いじょう、ぶ⋯ですか?」



声をかけたのは、この人に罪悪感があったから。


それに、この場所には、会計待ちでたくさんの人がいるから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る