実体

第17話

案内に従うまま留姫空を先頭にホテルの最上階の一室へと足は向かう。

「九瑠璃余計なこと言わないでね。黙って聞いててよ」

「分かってるってばー!結衣はいつもそういう事ばかり言うんだから!」

「そうねー。そう言わせるのは私の実直さだけだったら良かったなぁ」

「留姫空ちゃんどう思う?お姉ちゃん属性付いてから更にこんな感じ」

「留姫空は結衣ちゃんの事信じてるから。九瑠璃さんのことも」

「流石分かってるねー」九瑠璃をコントロールしている様にも視え結衣に笑みが溢れる。

「此方のお部屋にお入り下さい。」留姫空は迷いなくドアを開け、3人もそれに続く。

「ノイズが聞こえる、、」留姫空は小さく言葉を溢し座り込む。

3人は慌てて周りを見渡す人は見えず変わった様子もない。まだ客室に入るドアも開いている。安全を確認する為に部屋の外に一度出る。閉じ込められる様な事は無かった。

「大丈夫だよ。留姫空」

3人もノイズを感じながらそんな声が聞こえる。

「父さんなの?」留姫空は少し笑みが漏れる。3人は部屋に戻り留姫空と辺りを見回す。黄色の珠がベッドの上に無造作に置かれていた。

「結衣ちゃんだったかな?君が持ってる類の石と同じ様なものだよ。因みに私は結衣ちゃんの父親ではない。しかし留姫空、君は形式的に私の子では有る。黒野さんにはわざと予定を入れてもらった。留姫空と体裁的なものを抜きに話したかったからね。君達のクロノスへの疑念は送金が一番気になっている事だろう。その点は黒野さんから後で話してもらうつもりだったが、今先に話してもらった方がリラックスして貰えると今思いついた。黒野さんに先に話してもらおう。私が話すとノイズが有るし、その状況下には居たくないだろう。そのタブレットを使ってくれテレビ通話は君達の方がやり方をわかっているだろう。」

「わかりました。父さん」

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