第78話

時間がない。



水球に閉じ込められたあたしには時間がない。



また何も出来ず瀕死の状態になるのは真っ平ごめん。



ということで



「ごがぶくくく!?ごぼぼぼごぼぼご、ぶくくくぶく、こぼぼ!?」



「なんてーーっ!?」



水球に戻されたあたしは必死で喋ったね!!



この想い届け!!とばかりに。




しかしやはり水の中、何を言ってるのかまぁーーったくわからず……



あたしの奇行に慌てふためいていたリンが、血相を変えて吠えたもんね。



ちなみに喋ったのは



「アナタは誰!?帰って来ないって、待ってるって、誰を!?」



である。



喋った分やはりさっきより早く瀕死状態に……。



「マツリ!!」



心配してくれてるのかね?


リンも必死の形相。



大丈夫、大丈夫だから。



もう一回現世に戻るだけだから。



すぐにイオリが……



イオリが……

























アイツーーッ!!


まぁーーった見てないなぁ!?



息苦しい……



もうダメ……だ。
























パァアアンッ!!!!




意識を失いかけた時、急に水球が弾けた。




「マツリ!!」



何も出来ず、ドボンと湖の中に落ちたあたしを、リン引き上げてくれる。




「ゴホッゴホッ!!ウェッエッ!?ゴホッゴホッ」




激しく咳き込んでいると、淡い水色の光があたしの胸辺りにポッカリと現れた。

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