第75話

そしてあたしとリンは水浴びをすることに。



ちょっ


待てよ!!



お風呂っ、お風呂ないんかいっ。



嘘だろ?!


いや、暑いからね、水浴びでもいいけどさっ。



リンも一緒ってどういうことさっ!?



仮にも男と女だぞ!?




「ハッ」




鼻で笑われたんですが?!


リンの野郎に鼻で笑われたんですが?!




「お前を女と見れとは、片腹痛し」



「こっちだってなぁっ、お前なんぞっ」



「早く入れ」



「ぬぉっ!?」




ドボーーーンッ!!




あたしはリンに湖に突き落とされた。



服を着たまま。




「ブハァッ!?」




ハァ……湖、ひんやり冷たくて気持ちが良い。




あたしはそのまま水に体を預け浮く。



青い空、眩しいくらいの太陽。



当たり前の光景。



しかしこの村の人達はその当たり前の光景を数ヶ月奪われていた。



なんでだろう?



召喚獣の仕業……。



村の人達は、召喚獣をイジメてでもいたのだろうか?



まさかそんな……ね。



召喚獣の力は偉大だ。


人が太刀打ち出来るようなものではない。



それは長年見てきた(ゲームで)のでよくわかる。



ならば?




「うぉーい、溺れるんじゃねぇぞ?さっさと顔と髪洗えー」



「はいよー」




今、リリ嬢達が村人達から話を聞いてくれている。


水が嫌なイフィートもそっちにいる。




「気持ち良さそうだな、リン」



「メッチャ気持ち良い」




奴は真っ裸だった。



正確にはパンツは履いているが。




「んなジロジロ見んな、ス・ケ・ベ」 




ニヤリとリンが笑う。




「ハッ」




これ、本当に王子だろうか……?


玉子の間違いなんじゃ……。




「マツリッ!!」



「?!何!?」




突然大声なんか出し……




「ぬぉおおおっ!?」




水がっ、湖の水があたしとリンを隔てるように急に盛り上がり始め……




「えっ!?へっ!?どあっ!?」




為す術なく、あたしは盛り上がった水に飲まれ……出来上がった水の球体に閉じ込められた。




なんじゃこりゃあーーーーーーっ!?




「マツリ!!」




焦っているリンがこっちに向かってくる。




リンッ!!



たぁぁすけてーーっっ。




「ゴポッ!!」

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