第74話

フィルさんの超必殺技で雨雲が見事に吹っ飛び……



隠れていた青空と太陽が姿を現した。




おおおおお……。


こんなに素晴らしいものなのだな……。



太陽の光を全身に浴びながら、あたしは思う。




「わぁあああっ」



「凄い……」




村人1・2が空を見上げ感嘆の声を上げ、光が見えたのか家から村人達が出てくる。



そして




「「「おおおーーっ!!」」」




雄叫びを上げる人。


泣きじゃくる人。


抱き合って喜ぶ人達。



良かった、良かったねぇ。



…………。



なんて思うかぁああああっ!!




「リンっ、貴様この野郎っ!!」




女のコを盾にするとは何事かっ!!




「すまない。王子の俺がそんな……そんな姿に」




そこまで言って、リンはブハーーッと吹き出した。




「酷い姿だなぁ、オイッ」




そう言ってケタケタと笑う。



リリ嬢を見ると、髪一つ乱れることなく凜と立っている。



ガラとゾイドも同じく。



多分、間違いなくシールドを張ったんだろう。



そしてリン。



あたしを盾にしたとはいえ、なかなかの惨事。



髪がスーパー○イヤ人のようになっている。



……人のことを笑ってる場合ではないと思う。



そしてあたし。



盾にされたあたしは悲惨だった。



もちろんスーパーサ○ヤ人のような髪に、それに飛んできた葉っぱやら枝が絡まりまくり……



顔面は水浸しの地面は泥濘んでいたから、泥がね…


泥が酷いのよ……。



髪も服も顔も泥だらけ。



女のコ……なのですが……。



一応、ギックリ腰を患っているとはいえ、女のコなのですが……。




喜びあっていた村人達がようやく、あたし達に気付き




え?何コイツ、化け物!?みたいな目で見てきたのだった。




あまりにもムカついたので




「おりゃっ!!」




リンの胸に飛び込んでやった。




「あっ、お前っっ」



「フンンンンンンッ!!」




そして、リンの服でおもいっきり顔を拭いてやった。




「止めろっ」



「女のコを盾にするお前が悪いんだろうがぁあっ」

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